今回は芸歴制限撤廃の影響もあってかメンバーが逆に充実しすぎていて
準決勝以降は誰が決勝に行こうが優勝しようがあまり興味がなくなっていたんですが
決勝も実力者が実力通り評価されて、
且つ一番知名度の低い街裏ぴんくさんが優勝して注目されるという、
大会としては理想的な大会となったのではないでしょうか。
番組の進行も滞りなく、30分枠が増えた分、演出面もしっかりしていて、
まあM-1に似すぎなんじゃないかというのは気になりましたが、
ある意味オリジナリティを出さず、一番見やすい形になっていたのではないかなと。
強いていえば、ステージが大きくて背景がガチャガチャしていた分、
コントが若干見えにくいというのはあった気がします。
その点をわかっていたのか、たまたまなのか、
ルシファーさんは背景を書割にしてましたね。
そこだけはちょっと公平じゃない感じはありましたが。
以下、ネタの感想。
①真輝志 4位・458点
ドラマ(アニメ)の冒頭部分にツッコミを入れるというスタイルですが
虚構と現実が行ったり来たりするので、
やや観てる側の集中力が欠けるのがマイナスポイントだったかなと思います。
この人がこういうスタイルなんだと認知されていれば
その辺が補えるのかなと思いますが、
過去の準決勝のときも、あとから振り返るとどういうネタだったんだっけと
あまり記憶に残っていなかったので、
トップということもあり良い得点がつきにくい環境だったのかなと思います。
②ルシファー吉岡 1位・475点
ここは逆にもうコントの人だというのがしっかり認知された上での登場。
同時に下ネタの人だという認知もされてたと思いますが、
今回はそれがなく正統派のコントで質の高いネタを持ってきていたので
審査員的にも高い点をつけやすかったんじゃないかなと思います。
リズム感が良くてとても心地の良いコント。
人(ニン)とも合っているし、非の打ち所がないネタだったと思います。
③街裏ぴんく 2位・471点
ここは笑いのシステムを理解するまでに時間がかかるので、
お客さん次第かなと思っていましたが、
今回はお客さんはしっかり笑いどころで笑ってくれるお客さんだったので、
それも勝因の一つだったような気がします。
反応良すぎて、言っていることに「えー!?」とかいうお客さんだったら
きつかったでしょうからね。
案の定、放送後に一定数の「笑いどころがわからない」という輩が出てましたが、
それはそれで想定内というか、
観ている側に「これを面白いと思える自分はセンスがある」
と思わせてなんぼの芸風だと思うので、
そういった声に負けずに突き進んで欲しいですね。
④kento fukaya 8位・452点
ここは単純に審査員の世代的にマッチングアプリがピンとこないというのと
そういう世代にとっては、ただの人物プロフィール大喜利に見えたと思うので、
この結果は妥当なような気がします。
それにしても、もうフリップ芸は完全にモニター時代に移行したんですね。
⑤寺田寛明 7位・455点
ここは去年のネタとあまりに構造が似ていたというところで
新鮮味がなかったのではないかなと思います。
ただ4年連続上がってきているというのは、
ずっと大喜利系フリップ王者決定戦では4連覇し続けているということ。
そこはしっかり評価してあげたいなと思います。
⑥サツマカワRPG 6位・457点
寺田さん、サツマカワさん、そしてこのあとのお抹茶さんは
だいたい同世代だと思うのですが、
今の審査員世代との相性がすこぶる悪いというか、
どこか閉鎖的で自分たちのテリトリーの中でやっている感じがして、
なかなか評価されないんでしょうね。
それで言うとそこを突き破った令和ロマンは非常にクレバーなんだと思いますが。
⑦吉住 3位・470点
振り返ってみるとルシファーさんとここは正統派コントということになりますが
ネタ時間4分になったというのも、今回実力通りの結果になった
一つの要因だったのかなという気がします。
にしても今回の出場者で吉住さんが一番若手というのは、
若い出場者にとって、なんて夢のない大会なんだという気がしますね。
だからこその芸歴制限だったのに、たった3年でそれを覆すなんて。
その点ではもし芸歴制限があったら、吉住さんが圧勝していたということになるけど、
大会としては芸歴制限撤廃よりもむしろ4分になったことが
大会の質を上げたんじゃないかなと思っています。
⑧トンツカタンお抹茶 9位・448点
真輝志さんもそうでしたが、音声ネタってテレビを通すと伝わりづらくなるというか、
ライブだと音響がしっかりしているので、音響ゼリフも聴きやすいんですけど、
テレビはピンマイクで音を拾ってしまうから、地の声が立ってしまうんですよね。
マツモトクラブさんみたいに、
地の声が落ち着いていると音声ネタでもちょうどいいのかもしれませんが。
でもこれってエンタの神様みたいに、しっかり字幕入れてもらえたら、
すごくハネるネタだと思うし、
実際、後々何度も聴き返したくなるのはこのネタですよね。
ま、賞レースに1枠くらいは欲しい枠という点で
予選でも受けていたし、決勝に上がったことには異論はないです。
⑨どくさいスイッチ企画 4位・458点
準々決勝で観て、これは準決勝行ってもおかしくないと思ったらしっかり準決勝に進み
さらには決勝まで進出というのは、
アマチュア芸人にとっては夢のような状況だと思いますが、
この方の経歴を見れば、ただのアマチュア芸人ではないというか、
プロでもやれるポテンシャルを持ちながらアマチュアでいることを決意した人なので、
ただなんとなくやっているアマチュア芸人がたどり着ける境地ではないことは
わかっておいたほうが良い気がします。
と同時にただなんとなくやっているプロもしっかり見習ったほうが良いでしょう。
ネタは序盤やや早口だったのがもったいない気がしました。
最終決戦① 吉住 2票
ネタが1本目ほどの設定でなかったというのと
終盤の浮気展開になったときに笑いよりもドラマ性が高くなってしまったのが、
優勝しきれなかった要因なのかなという気がします。
この感じだったら10年以内のままだったら断トツで優勝だったんでしょうけど、
それはそれで新しいスターは生まれなかったわけで、
賞レースを獲るには巡りあわせも大事なんでしょうね。
最終決戦② 街裏ぴんく 3票(優勝)
エツオ・エツ・オエツ先生というネーミングが素晴らしかったですね(笑)
ここは逆に巡り合わせが良かったというか、
本来なら2021年あたりに決勝行ってんでしょうけど、芸歴制限でそれが阻まれて、
でも3年間の熟成期間でより「優勝させたい熱」が高まったというか、
それでいて芸歴制限撤廃後の最初の大会だから、
大会的にも埋もれていた熟練芸人の優勝を期待していたでしょうし、
その象徴的な存在になったのではないかなと思います。
ザコシショウさんが近い距離にいるから逆に厳しい点数つけるかなと思いましたが、
しっかりと評価していましたし、
それが贔屓したと見られる可能性がゼロではないですが、
それも含めて賞レースですからね。
アンチにしてみると、バカリズムさんが評価していないところも
攻めどころなのかもしれませんが、
野田クリスタルさんとザコシショウさんという
地下芸人に明るい二人が審査しているというのは、
地下芸人にとっては夢のある状況なのかもしれません。
これきっと久本さんとかが審査員だったら、
理解できずに笑顔で低い点数つけてるでしょうね。
審査員運も大事。
最終決戦③ ルシファー吉岡 0票
他の二人が良かったというだけで決して悪いネタではなかったと思いますが、
その点では、他の二人と比べて優勝したときのドラマ性は薄かったかもしれません。
でも来年以降はこうしたルシファーさんのような実力者がずっと居座るんだと考えると
大会としてまた停滞していくのではないかという気がしますね。
これってR-1の歴史としては、同じ大会システムだった
2010年に戻っているとわけですし、なんなら完全にM-1と一緒ですし。
今回は良い大会だったから来年は同形式になるんでしょうけど、
改善点があるとすれば、やはりまた敗者復活戦の復活でしょうか。
となるとさらにM-1になりますけどね。
今回敗者復活がなかったことでせっかく準決勝に進出した人が
テレビで扱われることなく消えていったことになるので、
来年はせめて、夕方の枠とかで敗者復活やってあげて欲しいですね。
あと敗者をグランドスラムの幕間コントに付き合わせるのはやめてあげて欲しい。
コラボやるならせめて、先にグランドスラムでそのあとR-1にしてあげないと。
でも年々、盛り上げようという意気込みは感じるようになっているR-1。
なんとかなくならずに来年も続けていってほしいです。